date:
2018/1/22
tag:
税務

平成30年度税制改正 – 国際課税

昨年12月に与党から発表された税制改正大綱。

与党、税制大綱を決定 20年から所得増税(2017/12/14 日本経済新聞)

この税制改正大綱は全134ページにわたり、業界の多くの人が(おそらく)読み込んでいます。

一般的には、多様な働き方を意識した改正や海外出国における新税などが連日報道されていましたが、

そのほかにも、事業承継を円滑にするための税制の整備や法人の投資促進税制など、様々な改正が盛り込まれています。

 

今回は少しマイナーですが、影響のある法人(主に外資系企業)においては重要なPE課税について取り上げます。

 

税制改正のスケジュール

税制改正は、毎年行われています。

夏頃にまず各省庁から要望事項があげられ、それを踏まえて税制調査会において秋頃から検討がなされ、

12月中旬に税制改正大綱が発表され、1月下旬~2月上旬に法案が国会に提出され、

審議のうえ3月下旬に法案が成立し、その多くが4月1日から適用されます。

 

近年では、2011年に1度だけ3月中に法案が成立せず、

期限切れを迎える時限立法について少し話題になっていました。

 

それでも、日本はこのスケジュールに則って進むのだから素晴らしい。

海外では突然改正がされることも多いですから。

実務サイドでは対応が大変です。

 

PEの定義の見直し

まず、PEとはPermanent Establishment(恒久的施設)の略で、簡単に言えば事業を行う場所です。

例えば日本で所得が生じた場合に、日本で税金を払わなければならないのか否かは、このPEがあるか無いかにより決まります。

 

つまり「PEなければ課税なし」であり、PEとは?が非常に重要なのです

今回の改正においては、その以前でいえば、

 

まずは、税制改正大綱の本文です。

いわゆる代理人PEについて、その範囲に、国内において非居住者又は外国法人(以下「非居住者等」という。)のために、その事業に関し反復して契約を締結し、又は一定の契約の締結のために反復して主要な役割を果たす者で、これらの契約が非居住者等の資産の所有権の移転等に関する契約である場合における当会社を加えるとともに、独立代理人の範囲から、専ら又は主として1又は2以上の自己と密接に関連する者に代わって行動する者を除外する。

※倉庫や建設に関するPEの定義も改正されます。

 

…意味わかります?

法律の条文も似たようなところがありますが、非常にわかりづらいですよね。

 

「独立代理人」以下は置いといて、誤解を恐れずに換言すると

外資系企業の日本販売代理店さん、そちらで販売元企業の商品販売に関する契約に係る活動を反復して行っているようであれば、販売元企業においても税金払ってもらいますよ。

ということです。

 

具体例で言うと、

A社(外資系企業)の日本子会社であるB社が日本においてA社商品の販売活動をしている場合には、

B社だけではなく外資系企業たるA社も日本で税務申告が必要となります。

 

いわゆるコストプラスのケースには結構該当するのではないでしょうか。

 

ただし、租税条約において異なる定めがある場合にはその租税条約上のPEの定義に基づくこととされているため、

(これも実務上では以前からそのように解釈されていたが、今回の改正で法令上明確化される見込み)

相手が租税条約締結国であれば結局のところ条約の規定通りとなるためその影響はケースバイケースですが、

今後条約が改正されていくことも予想され、引き続き注視は必要です。

まずは、BEPSプロジェクト(詳細割愛します)の合意に基づいて日本側の立ち位置を示したというところですね。

 

なお、この規定は法人税については平成31年1月1日以後開始事業年度(所得税は平成31年分以後)に適用されます。

 

タックスヘイブン対策税制

外国子会社合算税制、いわゆるタックスヘイブン対策税制についても改正がされる予定です。

私が関与しているところにおいては影響があるのですが、

一般的にはマイナーな部類になるでしょうから、こちらも割愛します。

 

日々勉強。

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