date:
2017/12/4
tag:
税務

外国人従業員がいる場合の年末調整

今日は、税理士業務について書きます。
(ただし、できるだけ専門的な表現は避け、平易にします)

テーマは、季節ものである年末調整について。

 

そもそも年末調整はなぜするの?

日本は所得税の確定・納付手続きについては申告納税方式という、納税者、つまり私たちが自ら申告し、納付する方法を採用しています。
ちなみに反対は賦課課税方式、つまり国・地方公共団体といった徴税側が税額を決定して課税する方式。固定資産税などがそうです。

よって、本来的には私たちが自ら1年間の給与などの収入をもとに税額を確定し、申告・納付する必要があります。

ただし、日本は給与所得者が多く、全員が同時期に確定申告をすることは事務運営の観点からも非効率となるため、税務署ではなく自分の勤務する会社において所得税の確定手続きをするのです。

つまり、会社には負担が増えることとなるが、行政コストの削減には資するというわけです。

よって、収入が勤務先からの給与のみの場合には基本的には年末調整で所得税の手続が完結します。ただし、例えば住宅ローン控除は控除額が大きいため初年度のみ確定申告が必要など、例外はあります。

 

外国人労働者の増加

日本で働く外国人労働者の方が増えており、厚生労働省の発表によると昨年10月末時点で1,083,769人が働いているそうです。
国境を超える敷居が低くなっている昨今、あるべき時代の流れと思います。

日常生活では例えばコンビニや飲食店のアルバイトだけでなく、百貨店や家電量販店などでも英語・中国語対応可などが増えてきましたよね。技能実習生の受け入れなどをしている会社もあります。

 

外国人を雇用している場合の年末調整

インターネットで検索すると年末調整の手続きについて数多く発信されている中、あえてこのテーマをピックアップしたのはこれを書きたかったからです。

①扶養控除等申告書の記載、添付書類

外国人を雇用している場合において、その方が故郷にいる親族を扶養に入れるケースがみられます。
従前は日本の扶養の方と同様の手続きだったのですが、平成28年よりその方を所得税法上の扶養親族、控除対象配偶者とするには、以下の書類が必要となりました。

扶養控除申告書提出時:親族関係書類(戸籍謄本などの証明書、日本語訳も必要)
年末調整時:送金関係書類(実際に日本から各親族等に送金をしたことを証明する書類、同様に日本語訳も必要)
※配偶者特別控除を受ける場合には、年末調整の際に親族関係書類も添付

事務手続きについて、多くの場合には年末調整の際に来年分の扶養控除等申告書も併せて受領しているでしょうから、その際にこれらの書類も受領する必要があります。

これらが提出されていないと、所得税の計算上扶養控除や配偶者(特別)控除の適用を受けることができません。
つまり、書類が足りない状態で扶養等に含めてしまうと税金を少なく計算することとなり、会社側が源泉徴収もれと指摘されてしまいます。

個人的な意見としては、送金関係書類の入手は相当に手間です。その年に送金したすべての分を集めないといけない、例えば子を扶養に入れている場合には子にも送金をし、その証明書を提出しなければならないのですから。

②学生免除特例

年末調整と直接の関係はありませんが、外国人留学生をアルバイトとして採用している場合において、日本とその外国人の方の母国との間において租税条約という、税に関する2国間の取り決めが締結されていることがります。
この場合において、その条約の内容によっては外国人の方の所得税を免除することができる場合があります。

この特例を適用するためには、入国後から最初の給与を支払う前までに租税条約届出書を提出する必要があります。

※詳細な現状分析や対応方法など、個別のご相談はContactからお問い合わせください。

 

あとがき

久しぶりに税務のトピックを書きましたが、改めて感じました。
慣れていることをアウトプットするのは、筆の進みが以上に早いということ。
いつも何度か書き直したりこまめに保存するところ、そんなこともなくいつもの文字量の倍以上の記事を一気に書き上げ、いつもの所要時間(最低2~3時間)の半分以下で書けました。
しかも慣れているせいか不思議とほっとしました笑

ただし、言語化するのが容易ではない、考え方やあり方にフォーカスしたテーマでの発信をあえて目指します。
時折税務のトピックも紹介しますが、そればかりになってきたと感じたらどなたかご指摘ください笑

お読みいただいている皆さま、いつもありがとうございます!

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