date:
2017/9/1
tag:
税務

海外ビジネスに伴う人に関する税務問題

来週半ばから1週間、ベトナム出張です。
これから年末にかけて、今回のベトナムを含め海外出張を3つ予定しています。
(出張その他行動についての私の考え方は、「行動する自由」にて)

このブログでは、様々なことについて自分の考え方を噛み砕いて発信・共有することで皆さんに何か感じていただければというのが基本的な趣旨であり、専門知識の教授のような記事は想定していませんが、出張にちなんで今回は税務の話をできるだけ柔らかく書いてみようと思います。

海外ビジネスをするうえでは、取引スキームの検証が重要

昨今では、大企業だけでなく、中小企業やフリーランスの方も決して願望ではなく、自然に「このビジネスを海外にも展開しようと思っている」とお話されます。インターネットをはじめとした技術進歩、人の移動の活発化、国内市場の縮小(特に既存業種)などが主な理由かと考えています。

ビジネスが場所を縛らないものとして、例えばウェブキャストやウェビナーは最たる例で、インターネットにつながれば配信する側もされる側もどこにいても問題ではありません。

ただし、海外で(正確には国境をまたいで)ビジネスをする場合、国際税務を含めた様々な検証をすることが重要です。リスクが大きすぎます。

その中でも、今回はよくある人の問題について取り上げます。

ベトナムを例にとり、あるメーカーがベトナムで子会社を設立して工場を建設してビジネスをしようとする場合、現地法人の経営者として、又は現地人スタッフに対する技術支援のために日本から人を出向させることがあります。この場合、所得税その他色々な問題が生じます。今回は所得税額の増加という点について触れます。

税率は低いが税額は高い

外務省が公表している海外在留邦人数を見ても、現在の日系企業の海外進出トレンドはアジア各国です。しかし、これらの国に出向する場合、現地での所得税額は日本より高額となるケースが多いです。

日本親会社のスタッフを海外に出向させることによりその方の給与の手取りが減ることを防ぐため、現在の手取り金額から逆算して所得税や社会保険などのコストを考慮して給与総額を確定させる、いわゆる手取り保証をした給与設計をすることがあります。

ここで、日本は他の国によりも比較的税率の高い国です。日本の所得税の最高税率は45%(住民税と合わせて55%)である一方、ベトナムの所得税(PIT)の最高税率は35%です。日本より低い35%なのに、なぜ高くなるのか?と思われる方もいるかと思います。

これは、日本の所得税における給与所得控除(みなし経費)や累進課税の上がり方という点で、比較するとベトナムの所得税の計算においては給与所得控除が小さかったり、累進課税の上がり方が急だからなんですね。
(所得水準の差異からくるものと考察)

例えば年収500万円のスタッフを現地に送り、住宅やドライバー付きの車を会社負担とした場合には、高額な所得税額と相まって給与総額が1,000万円を超えることもあります。
新たなことを始めるのである程度負担が増えることは覚悟していたが、ここまでとは思わなかったということがあります。
この費用を現地子会社に負担させると、当初予定していた計画よりも大幅に利益が少なくなる、マイナスとなってしまうという問題があります。
(負担させないことの税務問題も当然あります)

その他の検討事項

上記の負担増加の問題はあくまで一例です。その他にも移転価格税制/寄附金の問題、二重課税と外国税額控除、現地での法人側の損金算入可否、所得税の申告納付手続き、送金規制など、トピックはいくらでもありますが、記事が相当に長くなるので今回はこの辺りで。

それでは、出張の準備します!

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